Spotifyの広告事業は、最高マーケティング責任者たちにデジタルオーディオを真剣に受け止めてもらう必要があった。ホワイトペーパー、機能一覧、メディアキットといった標準的なB2Bの定石は、マーケターを調達担当者のように扱うものであり、Spotify自身のチームもそれを広告の最も退屈な領域と呼んでいた。

FCBニューヨークの対抗策はこうだった。CMOたち自身がSpotifyを聴いているのだから、このプラットフォームを使って彼らにリーチしよう、というものだ。チームは個々のCMOについてのオリジナル曲を書き、制作した。MastercardのRaja Rajamannarにはカントリー調のアンセム、Frito-Lay、Kimberly-Clark、Indeed、CVS、General Mills、Haleon、Wendy's、Cadillacのマーケティング責任者たちにはそれぞれの曲を、いずれもその人物の音楽の好みに合わせて制作した。

各曲は同時に、贈り物であり、ジョークであり、製品のデモでもあった。名指しした一人の幹部についての曲を作るには、Spotifyはその幹部を知っていることを証明しなければならなかった。まさにそれが売り込んでいた精密なターゲティングそのものだった。お世辞を言われたCMOたちは自分の曲を共有し、その売り込みを自らのネットワークへと広げていった。

このキャンペーンは2022年のカンヌライオンズで史上初のゴールド・クリエイティブB2Bライオンを受賞し、同年に第2シリーズとして再登場した。The One Show 2023ではこのシリーズが31件のショートリスト入りを果たし、FCBニューヨークが全体で86件のショートリスト作品を擁して同フェスティバルをリードする一助となった。

媒体そのもので買い手を歌い上げることで、その媒体を売り込む

あなたについての歌は、競合には真似できない売り込みだ。実際のターゲティングデータを持つプラットフォームだけが、それを説得力をもって作れる。

実在のCMOを名指しすることで、メディアのターゲットが進んで配信してくれる相手に変わった。彼らは自分を称える曲を自ら共有した。

それは、料金表やリーチの表では伝えられない「感覚」(オーディオは楽しく、個人的なものだ)を売った。

デモを贈り物にすることで、B2Bにおけるケーススタディとキャンペーンの間の距離が縮まった。

最良のB2Bの売り込みとは、買い手自身に使って見せる製品のことだ。名指しした一人の人物を持ち上げるパーソナライゼーションは、どんなリーチの統計よりもターゲティングの力をよく示す。

2022年9月の第2弾では、第1弾に対するSpotifyのAnn Piperいわく「輝くような、そして喜ばされた」反応を受けて、Mastercard、Haleon、Wendy's、CadillacのCMOが加わった。この作品はClio Awards、ANDYs、D&AD、The One Showで評価され、消費者向けのクリエイティビティのように振る舞うB2B作品のテンプレートとなった。

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出典

  1. Spotify's 'A Song for Every CMO' Returns With Tunes for Mastercard, Wendy's and Others Adweek · adweek.com ·
  2. The One Show 2023 shortlist announced by The One Club for Creativity Mediabrief · mediabrief.com ·