ウィキペディアでは、新しい編集者のほとんどが最初の数回の投稿のうちに離脱してしまう。新入社員を引き留めようとする通常の雇用主と違い、ここには標準的な手段が一切ない。給与を上げることも、ボーナスを出すことも、貢献を続けるかどうか決めようとしている人に昇進や雇用の安定をちらつかせることもできない。定着率を改善するために従来の組織なら手を伸ばすあらゆるインセンティブは、ボランティアで匿名、無報酬の編集コミュニティにはそもそも存在しない。

研究者ヤナ・ガルスは、ベテランのウィキペディア編集者と協力し、純粋に象徴的な賞、すなわち「星付きエーデルワイス」と呼ばれるバッジが、行動の変化を促せるかどうかを検証するフィールド実験を設計した。このバッジは新しい編集者のプロフィールページに表示されるが、金銭的価値も、キャリア上の利益も、実際の編集権限への影響もない。それでも、組織の乏しい資源では他に働きかけようのない行動に変化をもたらしうるかが問われた。

ガルスと共同研究者たちは、ドイツ語版ウィキペディアの新しい編集者の一部に、貢献を始めて最初の1か月の間にこの賞を無作為に付与した。受賞が受賞者の実際の貢献の質とは独立に無作為化できるよう、受賞基準は意図的に曖昧にされた。無作為化によって、行動の変化の原因が受賞者側の何らかの違いではなく、バッジそのものであることが切り分けられた。

功績とは無関係に新しい編集者へ象徴的なバッジを無作為に付与したところ、このコストのかからない通知が帰属意識を変えることで定着率を持続的に高めることが分かった。

無作為割り当てにより、バッジの効果を受賞者の質から切り離した。

バッジは、アイデンティティが形成される不安定な時期に、コミュニティが自分に気づいていることを示した。

コストのかからない賞は予算上の制約を取り除き、全員への適用を可能にした。

四半期をまたいで持続した効果は、単なる動機付けではなく帰属意識を変えたことを示唆する。

有形の報酬がない場合でも、自分が早い段階で気にかけられていると証明するものであれば、純粋に象徴的な承認のシグナルは新規参加者を引き留めうる。

バッジを受け取った編集者は、何も受け取らなかった編集者に比べて1か月後の定着率が20%高く、その効果は持続した。2か月後でも受賞者の定着率は14%高いままであり、この向上は最も多作な貢献者だけでなく、あらゆる活動レベルの編集者に及んだ。効果は一時的な初期の押し上げではなく、その後4四半期にわたって現れた。

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出典

  1. Jana Gallus — Publications UCLA Anderson School of Management, published in Management Science 63(12), 2017 · anderson.ucla.edu
  2. What Makes Wikipedia's Volunteer Editors Volunteer? Scientific American · scientificamerican.com
  3. Fostering Voluntary Contributions to a Public Good: A Large-Scale Natural Field Experiment at Wikipedia CREMA Working Paper Series, via EconPapers/RePEc, Örebro University · econpapers.repec.org