NASAは、医師から何十万マイルも離れた宇宙で数日から数週間過ごす飛行士のために、病原菌や汚染が一切ないと保証できる食品を必要としていた。軌道上での食中毒は1件でも、地球上では決して起こらない形で壊滅的な事態になり得たからだ。NASAの初期の取り組みは、食品業界の標準的な慣行に従っていた。すなわち、完成したロットを安全と認証する前に汚染を検査するという方法である。

この方法には根本的な欠陥が組み込まれていた。食品サンプルの細菌検査は通常サンプルを破壊してしまうため、製造業者は販売すべきロット全体を破壊することなくすべての単位を検査することはできず、検査は実際に出荷される製品のごく一部を抜き取ることしかできなかった。その結果、飛行士のトレイに届く製品の大半は直接検証されないままだった。

1963年以降、NASAのアポロ計画室は、ピルズベリーの食品科学者ハワード・バウマンとNASAのポール・ラシャンスと協力し、米陸軍が医療用品の品質保証にすでに用いていた信頼性工学の手法を応用した。完成食品の危険性を検査する代わりに、製造工程のあらゆる段階を洗い出し、汚染が実際に持ち込まれ得る特定の箇所を見つけ、まさにそれらの重要管理点で的を絞った予防と継続的な監視を行うという方法である。

製造のあらゆる段階を洗い出して汚染が入り込む箇所を見つけ、それらの点を直接管理することで、最後に検査するのではなく安全を工程に組み込んだ。

完成ロットの検査は破壊的であるため、確認できるのはサンプルのみで、製品の大半は検証されないままになる。

製造段階を洗い出すことで、汚染が実際に入り込む特定の箇所が明らかになる。

それらの重要管理点を管理すれば危険が入り込むのを防げ、最終製品の検査なしに製品を安全にできる。

陸軍の信頼性手法を借用したことで、体系的な危害分析の実証済みのひな型が得られた。

検査がサンプルを破壊する場合やごく一部しか抜き取れない場合は、出力の検証から、危険が入り込む工程の管理点を管理する方向へ移行する。

その結果生まれたシステムは、危害分析重要管理点(HACCP)として知られるようになった。これによりピルズベリーは、安全であることを証明するためにサンプルを破壊する必要なく食品を安全と認証できた。安全が最終製品で後から検証されるのではなく、工程そのものに組み込まれていたからだ。ピルズベリーは1971年にこの手法を初めて公に発表し、翌年にはFDAの検査官への研修を開始し、FDAは同じ年にこれを低酸性缶詰食品の安全規制に組み入れた。

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出典

  1. How the Moon Landing Led to Safer Food for Everyone NASA · spinoff.nasa.gov
  2. History, development, and current status of food safety systems worldwide PubMed Central (National Institutes of Health) · pmc.ncbi.nlm.nih.gov